最近流行りのアジャイル開発について考えたこと

PMP日記
この記事は約4分で読めます。

プロジェクトマネジメントの書籍で、アジャイル開発のキーワードを見ることが多くなりました。アジャイル宣言を順守すると俊敏にシステムを開発できるとのこと。

アジャイル宣言

プロセスやツールよりも個人と対話を、
包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、
契約交渉よりも顧客との協調を、
計画に従うことよりも変化への対応を、

アジャイル宣言は10年以上前から存在します。しかし、最近参加したアジャイル開発のセミナーで、アジャイル宣言を知っているのは参加者60人程の中で私を含めて数名でした。

某協会のセミナーなので、PMPが多く参加しているはずなのですが・・

実態としてアジャイル開発は普及していないということです。その理由は、アジャイル宣言の日本語訳に関する誤解だとセミナーで聞きました。

日本語訳では「包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを」とありますが、この「よりも」は英文では「over」です。すなわち「包括的なドキュメントの上に動くソフトウェアを」ということです。

「よりも」なので「ドキュメントはどうでもよく、ソフトウェアが動けばいいんだ」と捉えがちです。これが、現場でアジャイルが失敗する要因となり普及しないということです。

しかし、私は日本語訳などは些細なことで、根本的に日本のシステム開発の土壌にアジャイル開発は馴染まないと考えています。

今回はこの件をブログします。あくまでも個人的な考えなので参考として読んでください。

契約ができない

アジャイル開発は変化への対応ということで、仕様が変わることを是として進めます。柔軟に仕様を変えてより良いシステムにするとのこと。

これだけ聞くと良いことばかりのような気がしますが、日本におけるシステム開発の契約について考えると、そんなに上手くは行かないことに気付きます。

経済産業省の情報システムに関するモデル取引では「作る工程」は請負契約となっています。請負契約の場合、発注者は予算、受注者は契約額の制約の中でシステム開発を進めます。

ここで問題となるのが、柔軟に仕様を変えるコストです。仕様を変えること≒動くソフトウェアを変えることです。ソフトウェアを作ること、作り直すことにはコストがかかります。

予算と契約額の制約の中で、予め柔軟に仕様を変えるコストを折り込むことは不可能です。(わかってたら変えるなという話です)そうすると、追加コストをどちらかが負担しなければなりません。

綺麗ごとだけでいうと、対話と協調となるのでしょうが、そんな話がうまくいかないことは、昨今のシステム開発における係争からも明らかです。

順委任契約にすれば出来高払いで柔軟にという話があるかもしれませんが、これは法的な責任論の話であって根本的な問題は請負契約と同じです。

結論、アジャイル開発は変化への柔軟な対応にかかるコストを、契約のありかたを含めて解決できないと、日本のシステム開発で普及するのは難しいのではと思います。

仕様が決まらない

日本のシステム開発は重厚長大な開発体制となるケースが多いと思います。

画面仕様を一つ変更するのに、係長や課長など上席者の確認、さらにはユーザ部門での仕様承認、IT部門での追加コスト承認、調達部門での契約承認などなど、長い稟議が必要となることがあります。

強力なリーダーシップを持った方がいれば、早く決まるかも知れませんが、私の経験ではアジャイル開発が推奨するスクラム(2週間程度の開発サイクル)には間に合わないと考えます。

そもそもスクラムは仕様を現場で即断即決することが前提だといえるので、上記のような状況は想定外なのかもしれませんが。

では、現場で即断即決すれば良いのかと考えがちですが、担当が現場で決めたことが後になってひっくり返る、または決める権限を持っていないのが実態ではないでしょうか。

従来のウォーターフォール開発なら、工程毎に計画的に承認され決まっていった仕様が、アジャイル開発では決まらないという状況になると思います。

あとがき

ウォーターフォール開発は動くソフトウェアが出来るのが遅いので、後工程でユーザが要望と違うと気付いても対応できず互いに不幸になるという問題がありました。

アジャイル開発はこの問題を解決するため、早くから動くソフトウェアをユーザと確認しながら進めるアプローチです。

しかしながら、仕様を変更するコストの扱いなど根源的な問題を残したままでは普及は難しいといえます。

ソフトウェアの開発に関する有名な格言に「銀の弾丸などない」という言葉がありますが、まさしく、アジャイル開発も同じだといえます。利用するだけでウォーターフォール開発の問題を解決できる特効薬にはならないと思います。

コメント

Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.