情報処理安全確保支援士試験の午前Ⅱ試験を免除する制度が始まるようです・・

情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験の公式サイトに、大学院、大学および専門学校などで、情報セキュリティに関する所定のカリキュラムを修了した者について、午前Ⅱ試験を免除する制度が始まるとのプレス発表が掲載されています。

プレス発表 情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)試験における新たな免除制度の運用開始について:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

情報処理安全確保支援士の登録者を増やしたい情報処理推進機構(IPA)が、基本情報処理技術者試験の午前免除を参考に考えた制度だと思います。

今回は、この免除制度について考えたことをブログします。

午前Ⅱの試験はただの通過点

情報処理安全確保支援士試験の制度は午前Ⅰ、午前Ⅱ、午後Ⅰ、午後Ⅱの4つで構成されており、各試験において6割以上の正答率でないと、その後の試験は採点されず不合格となります。

午前Ⅰは情報処理技術全般が出題されるので、情報セキュリティ分野だけの知識では6割以上の正答率は難しく、実務経験のあるIT技術者でも鬼門となることがあります。このため、応用情報技術者試験や他の高度区分を合格してから2年間は免除されるという制度があります。

午前Ⅱは情報セキュリティ分野だけの出題であることや、問題の7割が過去問から出題されることなどから、情報処理安全確保支援士試験を合格するレベルの受験者、すなわち午後Ⅰ、午後Ⅱを突破できる場合、余裕で6割以上の正答率が取れる試験です。

午後Ⅰ、午後Ⅱは長文の読解力と知識の応用力が求められるため、情報処理安全確保支援士試験において最も難易度が高く、ここで不合格となる方が大半です。

結論、午前Ⅱの試験を免除されても午後Ⅰ、午後Ⅱを突破できないと情報処理安全確保支援士試験には合格できない。一方、午後Ⅰ、午後Ⅱを突破できる方の場合、午前Ⅱの試験を免除することに大して意味はないといえます。

 対象者像との乖離

情報処理安全確保支援士の対象者像は次のとおりです。

サイバーセキュリティに関する専門的な知識・技能を活用して企業や組織における安全な情報システムの企画・設計・開発・運用を支援し,また,サイバーセキュリティ対策の調査・分析・評価を行い,その結果に基づき必要な指導・助言を行う者

「指導・助言を行う者」とあるので、情報処理安全確保支援士は企業や組織で経験を積んだベテラン実務者のレベルでないと実務をこなすのは難しいと思います。

なぜなら、学生や新入社員では、企業や組織のIT技術者への指導・助言ができるはずがないためです。実務経験のない情報セキュリティ知識だけでは、実現性のない助言になります。

企業の経営者がサイバーセキュリティ対策において、情報処理安全確保支援士を活用する場合も、この対象者像から実務経験のあるベテラン実務者を求めるのではないでしょうか。

そういったことから、この制度により学生の情報処理安全確保支援士が増加することは、有資格者と対象者像との乖離につながり、資格そのものの価値や権威の低下につながると思います。

あとがき

今回の免除制度から、学生の受験者を増やすことで情報処理安全確保支援士の登録者を増やしたいIPAの意図を強く感じます。しかし、登録者が増えない理由は「取得するメリットがない」「維持に費用がかかる」など制度上の問題であることが明らかです。

午前Ⅱの試験免除など、意味のない制度を考えるのではなく、既に登録した方へメリットを提示するのが最優先であることに早く気付かなければ、情報処理安全確保支援士の制度は頓挫するのではと思います。


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