情報処理技術者試験 ITストラテジスト試験に大学生が合格した件について

情報処理技術者の中で難関とされるITストラテジスト試験に、学生が合格したという記事を読みました。実務経験がない学生という立場で、ITストラテジスト試験に合格したとはすごいです。

似た話として、情報系専門学校の生徒が、スペシャリスト系試験に合格したという記事もよく見ます。背景には、良い企業へ就職するために、資格を取得しようと考える学生や生徒が多いことがあげられます。

私も学生の頃、資格を取得しようと考えたことがあります。しかし、受験の申し込みをしても、結局、当日に行かず遊んでいたことを思い出しました。

そういったことから、情報処理技術者試験に合格する学生や生徒は、本当に頑張っていると思います。

しかし、スペシャリスト系試験ならまだしも、実務経験を論文で評価するITストラテジスト試験に、学生が合格したとなると、私は少し複雑な気持ちになります。

今回は、この件について、私が感じたことをブログします。あくまで個人的な意見ですので、参考程度に見てください。

論文試験が求めている解答の前提

論文試験の問題文には「あなたの経験と考えに基づいて」と書かれています。「経験と考え」ということです。「経験または考え」ではありません。また、設問アには「あなたが携わった」と書かれています。「あなたが携わったと想像する」ではありません。

実務経験があっても、問題文や設問の要求にあった経験をしていない場合、架空のストーリーで書きます。とはいえ、それらは上司から聞いたなどを含め、実務経験の延長線上にあります。

しかし、学生は実務経験がないため、教科書から覚えた知識で書くことになります。

問題文や設問の要求が、私の解釈どおりとすると、実務経験が前提となります。そうすると、学生が書く論文は要求を満たしていないと言えるかもしれません・・

論文試験は実務経験者より学生に有利?

合格論文集などを読むとわかりますが、論文の内容は、実務経験者から見るとあたり前すぎる内容だと言えます。なぜなら、2,800字程度で、問題文と設問に解答しなければならないためです。

口頭での説明は400字で1分と言われています。2,800文字の場合、たった7分です。この時間で業務の概要と課題、そして解決策を説明しなければなりません。当然、あまり難しいことは説明できません。

特に、ベテランの実務経験者は複雑かつ大規模な業務を担当しています。この経験を論文にそのまま書くと、文字数が収まらず、難しすぎて採点者に伝わりません。このため、論文では汎化して、第3者である採点者に伝わるように書く必要があります。

一方、学生は実務経験がないため、合格論文集から勉強します。汎化など意識する必要もなく、合格論文を覚えます。若いので暗記力があり、社会人と比べて勉強時間も多く確保できます。

また、最近は、情報処理技術者試験をテクニックで合格するという本も販売されています。これらを読むことで、実務経験がない学生でも合格できるようになってきました。

結論、私は論文試験は実務経験者より学生が有利な状況になってきていると思います。

対象者像と合格者のかい離

ITストラテジスト試験の対象像は次のとおりです。

高度IT人材として確立した専門分野をもち、企業の経営戦略に基づいて、ビジネスモデルや企業活動における特定のプロセスについて、情報技術を活用して改革・高度化・最適化するための基本戦略を策定・提案・推進する者。また、組込みシステムの企画及び開発を統括し、新たな価値を実現するための基本戦略を策定・提案・推進する者

情報技術を活用した事業革新、業務改革、革新的製品・サービス開発を企画・推進又は支援する業務に従事し、次の役割を主導的に果たすとともに、下位者を指導する。(情報処理推進機構のHPより引用)

情報処理技術者試験は平成13年まで、年齢制限があり、かつ実務経歴書の提示が必要でした。このため、実務経験者が合格者であるため、対象者像とのかい離が少なかったと言えます。

その後、年齢制限などが廃止され、実務経験のない学生でも受験できるようになり、冒頭の記事のように学生が合格するケースが多くなりました。そして、徐々に合格者と対象者像とがかい離していったと考えます。

このため、情報処理技術者試験の評判は、あまり良いとは言えません。ネット上では「実際の業務で使えない」「取得手当の額が下がった」など、否定的に書かれている意見を多く見ます。

しかし、誰もが受験できるようになった時点で、合格者が実務で使えるかどうかがわからないのは仕方がないと思います。

あとがき

情報処理技術者試験は、対象者像を見直した方が良いかもしれません。例えば、「当該の試験区分について、ケーススタディによる実践的な知識をもつもの」などです。

対象者像を見直さない場合は、プロフェッショナル向けの国際資格として評価が高い、PMP、CISSP、CISAと同様に、数年の実務経験を受験条件とし、かつポイント制による継続学習を更新要件にすると良いのではと思います。

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