PMPはPMI倫理・職務規定を順守します。以前のブログでも少し触れましたが、PMP試験の知識で最も役に立ったのがPMI倫理・職務規定です。詳細はPMI日本支部のホームページよりダウンロードできますので、そちらから参照ください。
今回は、この規定の概要と義務、役立った具体例や順守における留意点をブログします。
PMI倫理・職務規定の概要
責任、尊重、公正、誠実の4つの章で行動規範を規定しています。実務者として責任を持つ、相手を尊重する、公正に接する、誠実に振る舞うなどが規定されています。
この規定には、理想基準と必須基準の2つがあります。理想基準は守るように努力すること、必須基準は守らなければならないことです。PMPにとって必須基準は義務であり、守らないと懲戒処分などがPMIより課せられます。
PMP教科書では、プロフェッショナルの責任として、この規定のスタンスをとてもわかりやすい一言で説明しています。
プロフェッショナルは、自分の都合や感情を抑えてプロジェクトや組織に関する事柄を優先します
なお、この規定は人生のあらゆる側面で順守すべきとされています。すなわち、仕事だけではなく、子供を持つ親であれば子育てもプロジェクトと言えます。もっと大きく言えば、人生自体がプロジェクトです。
プロフェッショナルとしての義務を自覚する
PMI倫理・職務規定はPMPだけでなく、全てのPMI会員が順守しなければなりません。しかし、私はこの規定を知り、プロフェッショナルとして共感するのであれば、PMP試験に合格してPMPになるべきだと考えます。
フランスの言葉に、ノブレス・オブリージュという言葉があります。直訳は「高貴は義務を強制する」です。貴族などの社会的地位には責任が伴うという意味です。PMPは貴族ではありませんが、プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルです。そして、この規定が義務づけられています。
このため、PMPになることにより、プロフェッショナルとしての義務をより強く自覚することができます。このことが、PMPとして常に規定を守るという意識を持つために有効です。
実務で役立った具体例
では、PMI倫理・職務規定が実務でどのように役立ったのかという事例を紹介します。
この規定を知る前、私は、会議で自分の意見を否定されたとき、意固地になったり、自明な解決策に反対したことがあります。しかし、PMPとなりこの規定を学んでからは、常にプロジェクトにとって最善は何なのかを考え判断し行動するようになりました。その結果、驚く程スムーズにプロジェクトが進むようになりました。
特に、プロジェクトの現場で日々発生するコンフリクトについて、誠実かつ公平に当事者として取り組むことにより、関係者の協力姿勢を引き出すことができたと感じています。
プロジェクト関係者の中には、基本的なビジネスマナーを知らない方もいます。しかし、こういった方と調整する場合においても、規定を意識して対応することにより、相手の態度が改善するケースがありました。
順守における留意点
最後に、PMI倫理・職務規定を順守するときの留意点を2つ上げます。
1つは
自分の経歴、経験、スキル、資格に見合った任務のみ引き受けます
という点です。これは、調達要件でPMPを指定された場合に、PMPでない者が引き受けてはならないという意味だと、私は理解しています。
システム開発は、規模や複雑性が多様でチャレンジングなことが多いです。このため、業務付与で自分の経験やスキルが足りているかばかりを考えると、消極的となり業務を引き受けることができなくなると思います。
2つめは
私たちは、意思伝達と行動の両面において正直に振る舞います
これについては、組織としての建前と本音を念頭におく必要があります。実務では相手と駆け引きを行わなければならない場合が多々あります。この時、組織としての判断が必要です。正直に振る舞うということを真に受けると判断を誤ります。
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