プロジェクトマネジメントの資格 PMPとプロジェクトマネージャの難易度を比較してみた

日本のIT業界において、知名度の高いプロジェクトマネジメントの試験は2つあります。米国PMIが認定する国際資格のPMP試験と、経済産業省が認定する国家資格のプロジェクトマネージャ試験です。この2つの試験は、よく難易度が比較されます。なぜなら、その名称や対象者像がよく似ているからです。

今回のブログでは、私の独断と偏見で、この2つの試験の難易度を比較します。今後、取得を目指す方の参考になればと思います。

合格率から見た難易度

難易度は合格率でよく比較されます。PMP試験は合格率が発表されていませんが、巷では60%程度と言われています。一方、プロジェクトマネージャ試験は例年10%台前半です。単純に合格率を比較すると、プロジェクトマネージャ試験の方が難しいと言えます。

しかし、この合格率については、次のことがよく言われています。PMP試験は受験の手続きが面倒、かつ受験料が高額であるため、ほとんどの受験者が合格が確実なレベルで受験するため合格率が高い。一方、プロジェクトマネージャ試験は受験の手続が簡単、かつ受験料が手頃なため「記念受験」や「お試し受験」が多いことから合格率が低い。

私の場合も、PMP試験は1回で合格することを目標としました。しっかりと学習するとともに、入念に準備しました。なぜなら、慣れない英語での受験申請、監査に伴うPMI本部への経歴書の郵送、5万円以上の受験料、そして受験会場への新幹線による移動など、手続きが大変でお金もかかるためです。

一方、プロジェクトマネージャ試験の1回目は不合格でした。行けたら行こうという程度の気持ちで申し込み、結局、年度末の仕事が立て込み、当日は「お試し受験」とななったためです。受験料が5~6千円かつ近所の大学等で受験できるという手軽さから、このような受験者が相当数いるというのは、まさにその通りではないでしょうか。

このため、合格率のみでこの2つの試験の難易度を比較するのは意味がないと考えます。

私が考える難易度の実際

これら試験の難易度は、受験する方の実務経験によって大きく変わると思います。私は、試験を受験する時点で、プロジェクトマネジメントの実務経験が10年程度あり、かつ複数のシステム開発プロジェクトに携わってきました。

これを前提に、実務経験によるPMP試験とプロジェクトマネージャ試験の難易度を考えてみました。ただし、プロジェクトマネージャ試験については、次の2つの知識があることを前提とします。

1つめはITのベース知識として下位試験である応用情報技術者レベルの知識を有していること。情報処理技術者試験は下位試験を前提に上位試験が設計されているためです。

2つめは基礎的な国語力を有していること。プロジェクトマネージャ試験の午後問題は論述式です。論理的に説明できる能力と、それを2時間で3,000字程度の文章にする記述力が必要です。

これら前提となる知識がない場合、当然ながらITのベース知識が不要、かつ選択問題のみであるPMPの方が難易度が低いということになります。

プロジェクトマネジメントの経験が豊富な方

PMP試験では豊富な実務経験が足かせになり、かつ覚えることが多すぎるという課題に直面するかもしれません。自分の経験が邪魔をして正解できず、さらに、なぜ間違いかが腑に落ちないことが多くあります。

その理由は、PMP試験の問題には日本のシステム開発における現場の実務慣行が反映されていないからだと思います。このことが「覚えることが多すぎる」という課題にもつながります。すなわち、PMIの思想や考え方、PMIイムズとも呼ばれますが、これを根底から理解する必要があります。

このため、分厚いPMBOKの通読と、PMI職務・倫理規定およびPMI倫理的意思決定フレームワークの暗記が必要です。当然ながら、PMBOKの47プロセスのインプット、ツールと技法、アウトプットについてもある程度の暗記が求められます。

一方、プロジェクトマネージャ試験は、それほど苦労なく取得できると思います。新たな知識として、プロジェクトマネジメントの国際標準であるISO21500をかじる程度は必要となりますが、基本は実務経験を問う試験であるためです。

受験テクニックが必要ですが、午前の選択式と午後の記述式は応用情報技術者試験の延長であり、論述式は体裁を知って実務経験をアレンジすれば合格できます。

結論、プロジェクトマネジメントの経験豊富な方は、PMP試験のほうが難易度が高いと考えます。

実務経験がそれほど豊富でない方(若手をイメージ)

PMP試験では経験が邪魔をすることも少なく、覚えることも素直で若く体力がある分だけ苦労が少ないでしょう。一方、プロジェクトマネージャ試験は、論述式について限られた実務経験を膨らました疑似論文を数本程度、準備すればよいと考えます。

ただし、PMP試験については、大学卒で3年間、高専・高校卒で5年間のプロジェクトマネジメントについての実務経験が必要となります。

この実務経験はプロジェクトマネジメントと記載されているため、日本の一般的企業だと課長などの管理職をイメージしがちです。

しかし、主担当として指揮したものであればよく、一般職でも問題ない(はず)です。監査対象となった場合は、指揮したということを証明してくれる第3者が必要となるため、この点注意が必要です。

結論、実務経験が豊富でない方は、PMP試験とプロジェクトマネージャ試験は同じような難易度になると思います。

最後に

プロジェクトマネージャ試験を実施しているIPAのITスキル標準(以下「ITSS」)では、IT技術者をエントリのレベル1から、世界で活躍するレベル7までの7段階で定義しています。

このITSSで、PMP試験はレベル3、プロジェクトマネージャ試験はレベル4とされており、PMP試験はプロジェクトマネージャ試験の下に位置づけられています。

しかし、PMP試験は業界を問わない能力認定、プロジェクトマネージャ試験はIT業界に特化した能力認定ということから、同じドメインで評価することに少し違和感を感じます。

さらに、レベル4はペーパー試験で図ることのできる最高レベルと定義されていますが、PMPは実務経験も有することから、少なくともレベル4以上に位置づけられるべきだと思います。

#最後までお読みいただきありがとうございました。当サイトにはPMP、情報処理技術者の記事が多数あります。記事のカテゴリーより選択して読んで下さい。

#追伸
10月末に合格したPMPの認定書が届きました。合格した日から約3週間となります。認定書は全て英語なので書いてあることが全くわかりません。余談ですが、紙質は日本の情報処理技術者試験より数段良いです。さすが、受験料がうん万円もする試験だけのことはあります。

プロジェクトマネージャ試験のお勧め書籍!

PMP試験のお勧め書籍!

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 匿名 より:

    以下私見です。
    「PMPは実務経験を有する」と書かれていますが申告であり、鉛筆舐めなめしている受験者が結構居ます。そのへんも評価すると実際にはプロジェクトマネージャー試験の合格者が信頼できると思われます。

    • pmblog より:

      匿名さま 鉛筆なめなめとは面白いですね。上司または同僚からのリファレンスが必要ですが、確かになんとでもなるといえば、なんとでもなりますからね。論文で書く試験の方が信憑性があるという意見にも納得できます。

  2. 匿名希望 より:

    両方保持すれば判ると思いますが、難易度を較べる事自体意味がありません。
    較べたければ、SSUGが挙げるITSSのマップのとおりと私も考えております。

    敢えて申し上げるならば、PMPを重宝がるのは日本だけです。
    あれほど導入に熱心だった日本IBMでさえご覧のとおりです。

    • pmblog より:

      コメントありがとうございます。たしかに、両方保持していると難易度を比べること自体に意味はないですね。ただ、これから取得する方の参考になればと、個人的な経験談として記事を残しております。
      日本IBMが導入に熱心だったとは初耳です。思い出すと、10年以上前はIBM営業さんの名刺にPMPを見ることが多かったような気がしてきました・・

  3. pmblog より:

    匿名さま コメントありがとうございます。たしかに、取得者数が難易度を表していると言えますね。取得し易いから、取得者数が多いということですね。

  4. 匿名 より:

    私も両方保持しております。

    日本国内において保持者の数がPMP>PMである実態を踏まえると、
    PMPの方が取得しやすいから結果そうなると考えています。

    かつてのMCPしかりOracleしかりです。

    難易度を較べること自体意味はないでしょう。

Copy Protected by Chetan's WP-Copyprotect.